とある日のお昼休み。

ミヤセ自動車の片隅で、営業部の野本チーフがバイクと格闘していました。

 

「何してるんですか~?」

野本「エンジンが止まっちゃうから見てるんだよ。」

 

見るとバイクのシートが取り外され、上からエンジン部分が覗けるようになっていました。

 

このバイク、元々は営業アドバイザーのバイクだったらしいんですが、従業員の子が乗ることになったそうです。

ところがエンジンをかけてもプスンと止まってしまう・・・

これじゃ乗れないよね、ってことで野本さんが修理をすることになったそうです。

 

野本「燃料がここまで来てるんかなぁ・・・」

苦戦中の野本さん。

そこにふらっと修理部の佐野課長が通りかかりました。

 

佐野「何しとる~?」

野本「このバイク、エンジンが止まってくじゃんね。」

佐野「ん~、どれどれ・・・」

 

佐野課長がバイクの状況を手短に聞いて、おもむろにエンジンをかけました。

ブブブ・・・と白煙を吐きながらエンジン始動。

ところがすぐに止まってしまいます。

 

佐野「これ燃料が臭いな、大丈夫なやつ?」

野本「大丈夫だと思うけどねぇ、分からない。」

佐野「奥にちゃんとした燃料あるから入れ替えてみよう。」

 

缶とポンプを用意して、古い燃料を吸い出して新しい燃料と入れ替えます。

そして臭いをかぐ佐野課長と野本チーフ。

野本「腐ってるのかな?」

佐野「分からんなぁ。」

 

燃料を入れ替えたところでエンジンを再始動してみます。

 

ブブブ・・・

 

プスン

 

やっぱり止まってしまいました。

白煙が出るのも相変わらず。

 

佐野「これキャブだって!」

野本「キャブかなぁ?」

佐野「燃料じゃないね、キャブが詰まってるんだよ。」

 

そしておもむろにパーツを外しはじめます。

佐野「う~ん固てぇなぁ。」

スロットルのパーツがキャブレターにネジで固定されてるようですが、固着しちゃって回らないようです。

野本「道具が悪いかね?」

佐野「そうだなぁ、専用のを持ってくるかね。」

 

佐野課長がドライバーやレンチなどを持ってきて作業再開。

佐野「固いな~!」

野本「ダメかね?」

佐野「叩くしかないなこれ。」

 

固着したネジの頭の横側にドライバーの先端を当てて、カンカンと叩きます。

何度か叩いたあとにもう一度ドライバーで回してみると・・・

佐野「お、緩んだ。」

 

さすがですね!

 

そこからはあっという間に作業が進み、キャブレターがぽこっと取り外されました。

さらにネジを外してキャブレターを分解。

佐野「詰まっとるな~。」

野本「クリーナーやるかね?」

佐野「やった方がいいなぁ。持ってくるか。」

 

エンジン内の汚れを落とすクリーナーを持ってきてかけると、みるみる綺麗になっていきます。

佐野「よ~し、こんなもんでええやろ。」

 

綺麗になったキャブレターを

佐野「こ~だったかなぁ?」

佐野「こんなもんだったか?」

佐野「ネジはこれだったな。」

と言いながら組み上げて、あっという間に取り付けしてしまいました。

 

シート以外が元に戻ったところでエンジンをかけてみると・・・

ブブブ・・・

ブルブルブルブル

 

エンジンがご機嫌になりました!

佐野「ほいじゃぁ仕事してくるわ~。」

野本「ありがとうねー!」

休憩時間がちょっと過ぎていたので佐野課長は現場へ戻っていきました。

 

佐野課長がふらっと来てから45分。

この短時間にエンジン不調の原因の特定から分解、修理、組付けまでを全部終わらせてしまいました。

しかも車じゃなくて専門外のバイク。

さすが修理のプロですね~!

と感動する一幕でした。